3月12日、「子育てに困難を抱える家庭へのアクセシビリティ改善事業」(休眠預金等活用事業2023年度緊急枠)の事業成果報告会を開催しました。会場の久留米大学御井キャンパス、オンラインから50名にご参加いただきました。
本事業は、産前産後、ひとり親家庭、子どもの病気や発達、多国籍、不登校など子育てに多様な困難を抱える家庭と支援のアクセシビリティ(利用しやすさ/近づきやすさ)を改善することが目的です。
ちくご川コミュニティ財団は、筑後川関係地域で活動する8つの団体・企業(以下「実行団体」)と一緒に、2024年7月〜2025年2月にかけて本事業を進めてまいりました。
オープニングでは、ちくご川コミュニティ財団理事長の宮原信孝よりご挨拶。
まずは、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)より、本事業担当プログラムオフィサーの樋口晴子さんに東京からオンライン登壇いただきました。
休眠預金の制度を活用した本事業は、制度の全体の管理・運営を行う指定活用団体の日本民間公益活動連携機構(JANPIA)、実行団体への助成や非資金的伴走支援など中間支援を担う資金分配団体のちくご川コミュニティ財団、現場で実際に対象者への支援を実施する実行団体の3者が並列なパートナーとして事業運営を行います。
(休眠預金等活用事業の詳細はこちらのページから)
続いて、ちくご川コミュニティ財団プログラムオフィサーで事業部長の庄田清人が、本事業の全体像について説明します。本事業は、事業終了5年後に「筑後川関係地域が家庭の多様なニーズに応じて社会資源と有機的に繋がり支援を受ける仕組みができている状態」を目指し、家庭にアクセスするための活動を「イベント・居場所」「アウトリーチ」「情報」の3カテゴリーに分けて実施しました。
8実行団体による報告です。最初は、一般社団法人KATARU。「民設民営図書館をプラットフォームとした『ちっごこどもまんなかプロジェクト』」をテーマに活動。福岡県筑後市で民間図書館を運営し、不登校状態や日中の居場所がない小中学生や高校生、支援が必要な家庭などのべ1,487人が居場所を利用しました。特に、小学4人〜6年生の利用が約4割を占めており、学童保育所の利用が制度上できない層の居場所としても活用されていることが分かりました。
ちくご地域ユースサポート不登校支援部会(福岡県筑後市)は、「不登校・ひきこもり当事者と家族がありのままで生きていけるコミュニティ構築事業」をテーマに活動。筑後地域や佐賀県東部の、不登校や引きこもりの子どもたちとその家庭の居場所支援と同時に、不登校の子どもたちの就労機会を提供。「就労移行支援事業所でも頑張れる!」と、働くことへの自信と意欲を育むことができました。久留米市と筑後市で開催した、通信制・定時制高校説明会にはのべ700人が参加しました。
株式会社オヤモコモは、「産後のセーフティネット構築プロジェクト『みてるよ』」をテーマに活動。佐賀市や佐賀県東部、福岡県久留米市や小郡市の産前産後の保護者を対象に、24時間いつでも悩みを吐き出せるA Iチャットを活用した情報提供サービスを提供。238人が利用しました。心身の変化や育児のため、引きこもりがちな妊産婦の孤立を防ごうと、リアル交流会も各地域で複数回実施。124人が参加しました。
特定非営利活動法人舞台アート工房・劇列車は、福岡県久留米市を中心とした家庭を対象に、「パペットシアターPROJECTⅡ」をテーマに、文化芸術(アート)の体験機会を提供。人形劇・演劇の無料鑑賞会やワークショップに食支援を組み合わせ、どんな家庭も気軽にアートに触れる支援を136人に届けました。ちくご川コミュニティ財団が運営する休眠預金等活用事業(2023年度通常枠)のコレクティブインパクトチームなど、21団体との連携も生まれました。
認定 NPO 法人ミタイ・ミタクニャイ子ども基金は「子どもの希望・エスペランサプロジェクト」をテーマに、福岡市早良区の駄菓子屋で小中学生と高校生とその家族を対象に活動。駄菓子屋に、学習スペースや夜の居場所など多機能を設けて、子どもはもちろん保護者同士のつながりが生まれる居場所になりました。特に、外国籍の家庭や不登校の子ども、夜の居場所がない子どもたちへ、学習支援や食支援を届けることができました。学習スペースだけでも1,481人が利用しました。
一般社団法人隣友の会は、佐賀県佐賀市、上峰町、吉野ヶ里町、福岡県久留米市で「課題や困窮を抱える子育て世帯の緊急支援 共に支え合い安心できる居場所づくり」をテーマに活動。フードパントリーでは740世帯が利用し、食支援情報につながることが難しい外国籍の家庭も利用しやすいよう工夫しました。佐賀市で運営する居場所では、食事の提供や学習支援を実施、381人が利用しました。
一般社団法人こどもとねっとは、佐賀県鳥栖市と基山町で「こども宅食から始める「地域資源」✕「行政」✕「専門機関」による子育て支援事業」をテーマに活動。まだ支援とつながることができていない家庭への相談機能付きフードパントリーでは、毎月100世帯が利用しました。こども宅食によるアウトリーチでは訪問先の家庭を公的支援に繋げました。本事業を受けて、こどもの人権について考えるワークチームも発足しました。
一般財団法人ウェルネスサポートLabは、福岡市と久留米市近郊地域を対象に「かかりつけナースと家事の家庭教師の健康支援による子育て世帯の主体でしなやかなつながりづくり 」をテーマに活動。かかりつけナースによるチャットサポートに235人がユーザー登録しました。専門家が家事スキルについてレクチャーする「家事の家庭訪問」は50名が利用しました。事業期間中の事例や相談窓口などをまとめた冊子「子育て世帯の健康的な暮らしナビブック」の発行や、オンライン上で閲覧できる「フレンドナースの処方箋」など事業終了後の支援体制も整備されています。
地域で子育て支援活動をしている方、休眠預金等活用事業に関心のある方、事業関係者など参加者の皆さんも熱心にメモを取りながら、報告内容に耳を傾けていました。
報告会もいよいよ大詰めです。
後半は、8実行団体によるディスカッション。ちくご川コミュニティ財団のファシリテーションのもと、事業をふりかえりながら、想定外の事業の波及効果や、人材育成やファンドレイジング等の団体としての課題をどう解決するかなどについて議論がなされました。
最後はJANPIAの樋口さんに再び登壇いただき、本事業の総括をいただきました。
資金分配団体が丁寧な伴走支援を行う中、8実行団体多様な連携を構築し、受益者へ確実に支援を届けるための活動が充実していたことなどを評価いただきました。
報告会終了後はランチ交流会♪8ヶ月間、事業を共にしたみんなでお昼ご飯をいただきます。
皆さま、事業運営お疲れ様でした。困難を抱える子育て世帯と支援をつないでいただき、ありがとうございました。
本事業の詳細なアウトカム等の報告は、来年度JANPIAウェブサイトより「事業報告書」という形で公開される予定です。
最後に、本事業へ関心をお寄せいただいた方々、行政や企業の皆さま、改めて御礼申し上げます。
私たちちくご川コミュニティ財団はこれからも地域に寄り添い、筑後川関係地域の課題解決に向けて取り組んで参ります。
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